第一三共の価値創造プロセスとESG経営

当社グループでは、ESG経営を「ESGの要素を経営戦略に反映させることで、財務的価値と非財務的価値の双方を高める、長期目線に立った経営」と定義し、実践しています。

社会からの多様な要請に応えるため、社内外の様々な経営資源を価値創造プロセスに投入し、「サイエンス&テクノロジー」を競争優位の最大の源泉として、各ステークホルダーや社会への価値を提供しています。この価値創造プロセスを循環させることで、企業と社会の持続的成長を両立させることができると考えています。

中長期的な企業価値へ影響を及ぼす重要度と、様々なステークホルダーを含む社会からの期待の両面から、8つの重要課題をマテリアリティとして特定し、事業に関わるマテリアリティと事業基盤に関わるマテリアリティに整理しています。

第一三共がステークホルダーの皆さまに価値を届けるまでのプロセス

2030年ビジョン

 

ESG経営のもと、「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」となることを2030年ビジョンとして掲げています。

パーパス(存在意義)である「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」の実現に向けて、当社グループに期待される社会課題の解決(革新的医薬品の創出、SDGsへの取り組みなど)をめざし、われわれの強みである“サイエンス&テクノロジー”に基づき、イノベーティブなソリューション提供に挑戦し続けています。

2030年時点で達成したい具体的な企業像は、「がん領域での売上収益の規模がグローバルでトップ10」、「更なる成長の柱が収益源の一つ」 となっており、「各事業ユニットが新製品を軸とした収益構造」 に転換していること、さらに「事業を通じたサステナブルな社会の発展に貢献」 している姿です。

    第一三共グループのパーパス(存在意義)と2030年ビジョン

  • ◆がん領域でグローバルTop10

  • ◆各事業ユニットが新製品を軸とした収益構造

  • ◆更なる成長の柱が収益源の一つ

  • ◆事業を通じたサステナブルな社会の発展への貢献

第5期中期経営計画(2021年度~2025年度)と戦略の柱

第5期中期経営計画は、2025年度目標「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を達成し、2030年ビジョン実現に向けた成長ステージに移行するための計画と位置付けています。

2025年度の計数目標として、売上収益は、1兆6,000億円(うち、がん領域の売上収益6,000億円以上)、利益面では、研究開発費控除前コア営業利益率を40%まで高めるとともに、ROE16%以上を掲げています。また、株主還元の指標として、株主資本配当率(DOE)を採用し、株主資本コストを上回る8%以上を目指しています。

2025年度目標を達成し、成長ステージに移行するための戦略の柱は、「3ADC最大化の実現」、「既存事業・製品の利益成長」、「更なる成長の柱の見極めと構築」、「ステークホルダーとの価値共創」の4つです。

これら4つの「戦略の柱」の実行を支える基盤を強化するため、「DX推進によるデータ駆動型経営の実現と先進デジタル技術による全社の変革」、及び「新たなグローバルマネジメント体制による迅速な意思決定の実現」を進めています。

第一三共グループ第5期中期経営計画の4つの戦略の柱の図

※1   3ADC:当社独自の技術を用いた3つのADC(抗体薬物複合体)、エンハーツ®、Dato-DXd、HER3-DXd 。
        DXd‐ADC技術と各製品の製品価値最大化の取り組みについては、「第一三共のがん事業」をご参照ください。
※2   コア営業利益:営業利益から一過性の収益・費用(固定資産売却損益等)を除外した利益
※3   DOE:株主資本配当率 = 配当総額 ÷ 株主資本(親会社の所有者に帰属する持分)

株主還元方針

第5期中計では、資本コストを考慮して、「資本効率の向上」と「株主還元のさらなる充実」を図ることで、株主価値の最大化に繋げます。

3ADCの成長による収益拡大と機動的な自己株式取得により、「資本効率の向上」を実現し、2025年度のROE目標、16%以上の達成を目指しています。加えて、利益成長に応じた増配と機動的な自己株式取得により、「株主還元のさらなる充実」を図ることで、2025年度のDOE目標、8%以上の達成を目指しています。

第一三共の第5期中期経営計画中の株主還元方針の図

※1  株主資本配当率(DOE)= 配当総額 ÷ 株主資本(親会社の所有者に帰属する持分)

2025年度計数目標の達成の見込

第5期中計の進捗等を踏まえ、2023年4月に2025年度計数目標の達成の見込を公表しました。

売上収益は、目標の1兆6,000億円を4,000億円上回る2兆円を見込みます。主な増加要因は、がん領域の売上収益で、当初計画を上回るエンハーツ®とDato‐DXdの売上拡大等により、目標の6,000億円以上を約3,000億円上回る9,000億円以上を見込みます。売上収益の増加に伴い、売上原価と販売費・一般管理費の増加を見込みますが、効率的・効果的な経費執行を継続し、研究開発費控除前コア営業利益率は、引き続き40%の目標達成を目指します。

3ADCの開発が当初計画に比べ順調に推移していることに加え、3ADCに次ぐ成長ドライバー候補のDS-7300※1とDS-6000※1のポテンシャルが高まってきたため、持続的成長を図るべく、3ADCに両製品を加えた5DXd-ADCに積極的な成長投資(研究開発費及び設備投資)を実行する方針です。成長投資の実行に際して、株主還元とのバランスの取れたキャッシュ・アロケーションを図ることで、ROEと株主資本配当率(DOE)※2は、それぞれ引き続き16%以上と8%以上の目標達成を目指します。

2023年4月時点での第一三共グループ第5期中期経営計画の数値目標達成見込

※1  DS-7300とDS-6000:3ADCと同じDXd-ADC技術を活用した製品。
        各製品の製品価値最大化の取り組みについては、「第一三共のがん事業」をご参照ください。
※2  株主資本配当率(DOE)= 配当総額 ÷ 株主資本(親会社の所有者に帰属する持分)

(2023年4月現在)

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