第一三共株式会社は、公益財団法人ジョイセフと協働し、2022年7月より「ケニアにおける子宮頸がん検査促進による予防啓発プロジェクト」を開始し、2025年6月に終了しました。
ケニアでは、女性のがんでは乳がん、子宮頸がんの罹患数が最も多く、子宮頸がんは女性のがんによる死亡要因の1位となっています。また、子宮頸がんは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とともに生きる女性の間で最も多くみられるがんで、HIV陽性の女性が子宮頸がんを発症するリスクは、HIV陰性の女性の6倍高いことが報告されています。さらに、地域住民の間では子宮頸がんや性感染症についての正しい知識や情報が行き届いておらず、保健施設においては検査や治療の体制が十分に整備されていないなどの問題が存在しています。
そこで本プロジェクトでは、現地の保健ボランティアによる啓発活動、子宮頸がんの検査・治療、HPVワクチンへのアクセス向上を目的とした活動を3年間実施してきました。ナイロビカウンティ及び対象サブカウンティ保健局との協力の下、研修やメンタリングにより医療従事者の能力を高め、子宮頸がん検査を保健施設内の医療サービスに統合するとともに、高次施設への紹介体制を強化するなど、施設内外の連携を改善しました。また、学校や地域の行政官・保健ボランティアと協力して啓発用メッセージや教材を作成し、子宮頸がん検査やHPVワクチンに対する誤解や不安の軽減に取り組みました。さらにデータの記録・報告に関するスタッフへの指導を行い、データの精度向上を図るなど、多角的な改善を進めました。こうした取り組みにより、子宮頸がんの予防・検査・治療体制の向上につなげました。

HPVワクチンの接種の様子

学校で保護者向けにHPVワクチンについて説明する学校保健看護師

地域保健ボランティア向け子宮頸がん啓発教材ダイアローグカードの使い方研修の様子

本事業で開発したダイアローグカードを使って子宮頸がんに関する啓発活動をする地域保健ボランティア

地域保健ボランティアを対象に子宮頸がん検査について説明するジョイセフスタッフ(右)

本事業を通じて子宮頸がん検査と前がん病変治療のスキルを磨きメンターになった看護師
その結果、プロジェクト対象地域では3年間で延べ13万人以上の女性が子宮頸がん検査を受けました。12%程度であったプロジェクト開始1年次の受診率と比較して、3年次は66.8%(国の目標値は70%)と大きく上昇しました。また、HPVワクチンの接種率も、1年次の36%から3年次の87.1%(国の目標値は90%)と向上しました。さらに、検査する保健センターや診療所と、リファラル病院との連携強化により、前がん病変患者の治療完遂率が大幅に改善しました。一方で、現地では文化・宗教的理由から子宮頸がん検査への心理的抵抗が強い地域もあり、こうした視点を配慮した啓発研修とともに、今後、政府保健施設のみならず、小規模プライベートクリニックでの検査も可能となれば、検査受診者が増え、早期発見・治療につながることが期待されます。
本活動を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、そして目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に貢献しています。
プロジェクトの概要
- 地域:ケニア共和国 ナイロビ郡3地区(マカダラ、カムクンジ、キベラ/ランガダ)
- 活動概要:1) 地域住民への子宮頸がんや性感染症を含むSRHR*1に関する正しい情報提供および子宮頸がんの予防・検査促進に向けた行動変容のための啓発活動、2) 保健施設での子宮頸がんの検査および早期治療、3) 子宮頸がん検査・治療のための医療ネットワークの強化
- 期間:3年間(2022年7月~2025年6月)
- 協働パートナー:公益財団法人 ジョイセフ*2
第一三共グループは、「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」をパーパスとする製薬企業として、医療基盤がぜい弱な地域において医療アクセス課題の解決に取り組んでいきます。
プロジェクトの概要とKPIs