Chapter-4 不整脈ってどうやって治療するの? 不整脈を見つけるさまざまな検査
- 不整脈を見つけるさまざまな検査
- 一人ひとりに合わせた不整脈治療
- 機器を植え込んだ患者さんのQOL
不整脈ではもっとも基本的な検査として、心臓内部での電気的刺激の伝わり方を記録する「心電図」検査があります。心電図検査には運動負荷時や日常生活の中でみられる不整脈を見つける検査や発生の仕方を特定する検査などさまざまなものがあります。
最も重要な「心電図」検査

心電図を記録する装置にはさまざまなタイプがあります。心臓の興奮の状態を波形でとり総合的に記録する「12誘導心電図」や「ホルター心電図」に加え、異常が発生している部位の特定やその不整脈の発生のしくみを調べる方法などがあります。心電図検査は不整脈の診断にあたって、もっとも重要なものと言えます。
- 12誘導心電図
検診や外来で行われる標準的な心電図検査で、両手首と両足首の4ヵ所と胸に6ヵ所の計10ヵ所に電極を付け、12通りの記録をします。ベッドに横たわった状態で行うので、安静時心電図とも呼ばれ、痛みもなく、5分ほどで測定できます。心筋梗塞や心肥大などの診断にも有用ですが、測定時間が短いので、たまにしか現れない不整脈を診断することは困難です。 - 運動負荷心電図
どのような状況で不整脈が出現するかを知ることは医師が治療方針を決める際に重要な情報となります。運動時だけに不整脈が現れることも少なくありません。そのために運動負担をかけ、心電図を記録します。一定時間、2段の階段を上り下りするマスター法、速度や角度を変えながらベルトコンベヤーの上を歩いたり走ったりするトレッドミル法、自転車のようにペダルをこぎながら、負荷を重くしていき血圧と心電図を測るエルゴメーター法などがあります。
- ホルター心電図
電極を貼ったまま、24時間あるいは48時間過ごし、日常生活での心電図を連続して記録し、いつ、どんなときに不整脈が起こるかを調べます。より長時間の心電図を記録することは、出現する不整脈をうまく記録できる確率を高めます。一過性の不整脈発作や、日常の動作で現れる不整脈、睡眠中の不整脈などを見つけることができます。自覚症状が起きた時にボタンを押して記録することで自覚症状と不整脈の出現が一致するかを確かめることができます。
- 携帯用小型心電計
動悸などの自覚症状があるものの、通常の12誘導心電図、また長時間連続記録ができるホルター心電図でも捉えられず発見されない不整脈の診断のために使用します。携帯用小型心電計(イベントレコーダー)は常に持ち歩ける手のひらサイズで、ホルター心電図が24~48時間が限度であるのに対し、数日から数週間にわたる期間で自覚症状が出たときに心電図を記録することができます。1ヵ月に1度しか起こらないような動悸が現れた時に記録ボタンを押すと少し前にさかのぼって心電図を記録し保存することができます。
電気生理学的検査(EPS)
足の付け根(大腿部)や腕(上腕部)の血管(静脈)から、先端に電極がついたカテーテルという細く長い電極を挿入し、直接心臓に弱い電気刺激を与えて人工的に不整脈を誘発します。この検査によって、不整脈の発生する部位、発生の仕方などを診断します。また、同様な方法でカテーテルを至適部位(異常な興奮を起こす病変部、または不整脈の電気的回路がある部位)に押しあて通電することによりカテーテル治療も可能となります。通常検査は数時間以内に終了しますが、数日間入院して行うのが一般的です。
そのほかの検査とより詳しい検査
一般的に12誘導心電図とともに行われる「胸部X線検査」と「心エコー検査」は心臓の形や大きさを調べるための検査です。その後、必要に応じ「心筋シンチグラフィー」など精密検査が必要な場合もあります。
- 心エコー検査(経胸郭心エコー)
12誘導心電図とともによく行われる検査が、心エコー検査(心臓超音波検査)です。所要時間は約20分ほどで痛みもなく、妊娠中の人やペースメーカーを使用している人でも受けることができます。胞壁から心臓に超音波をあてて、はね返ってきた反射波によって心房、心室、弁などが実際に動いている様子を画像として観察できます。心筋梗塞や心筋症、心臓弁膜症などの診断をするとともに、心臓のポンプ機能評価に重要な情報を提供します。
- 経食道エコー
最近では、経胸壁心エコーを進化させた新しい検査法も行われるようになりました。これまでの超音波は空気や骨を通過しないために、照射する角度や位置が限られることがありました。そこで開発されたのが食道の中に超音波を発する小型の装置を挿入して心臓を裏側から観察する「経食道エコー」です。心臓を裏側から診るため、特に左心房内の血栓の有無の診断に有用です。 - 心筋シンチグラフィー検査
放射性の医薬品「アイソトープ」を静脈に注射して血流に乗せ、心筋に取り込みます。正常な心筋はアイソトープを取り込み、放射線を発します。これを特殊なカメラで撮影すると心筋が濃く写りますが、十分に取り込まれない異常な心筋では薄かったり白く写ったりします。心筋の血流が均一であるか否か、また心筋が不均一な組織となっているかを診る検査です。心筋に壊死となった部分がある心筋梗塞の診断にも有用です。
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