第三者意見
第三者意見

医療法人渓仁会
CSR推進室室長
奥田 龍人 様
2009年4月にCSR推進室を設置し、医療法人としてのCSR活動を推進する。ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなどを経て現職。その他社団法人北海道社会福祉士会相談役、札幌市介護支援専門員連絡協議会相談役など。
医療法人という立場から、第一三共グループのCSR活動について第三者意見を述べさせていただきます。
医療を提供する側として製薬会社一般に期待するものは、(1)MRの提案能力と回答能力、(2)新薬開発のマネジメント、(3)パートナーとしての安定性と安全性などであると思います。レポートからは、それらに対する誠実な取り組みが伝わってきて高く評価できます。
MRの能力向上についての取り組みは特集に詳しく、また希少疾病用医薬品の開発などあまり陽の目を見ない分野での取り組みにも感心しました。医師や患者様の感想なども聞きたかったところです。
医療側から見ると、製薬会社はステークホルダーというよりパートナーともいえるべき存在で、安定性、安全性、コンプライアンス遵守が気にかかるところです。本年度よりCSR担当役員を配置し、企業倫理、環境経営、社会貢献の面でガバナンスを発揮する体制ができていることは高く評価できます。
ただ、「ステークホルダーへの責任」という面では、医療関係者へのメッセージがあまり多くなく、問い合わせ件数なども省略されており、実態をつかみづらいところです。昨年度のレポートのように「問い合わせと回答例」などがあると、安心して問い合わせできる効果があると思います。
積極的な障害者雇用や女性が安心して働ける職場作り、環境マネジメントなども「行うは難し」の分野であり、グループの先進的な取り組みに敬意を表します。
最後に、職業柄いつも感じていることを述べます。良い薬があってもきちんと服薬しなければ健康管理はできませんが、現場では、一人暮らしの認知症の方など、服薬管理が難しい方が増えてきております。服薬の回数を減らしても良い薬を開発する(ヘルパーの訪問回数が減る)、自動的に服薬を促す機械を作成するなどの取り組みも期待しています。
- 医療法人渓仁会様のご紹介
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医療法人渓仁会様は理念として「安心感と満足の提供」「信頼の確立」「プロフェッショナルマインドの追求」「変革の精神」を持ち、ミッションとして「保健・医療・福祉の各サービスをシームレスに提供し、地域住民の生涯にわたるニーズに応え支援を行う。」を掲げ、札幌市を中心に、医療法人・社会福祉法人・福祉サービス会社などの4法人を運営し、保健・医療・福祉を相互に連携させながら、求められる最良のサービスを提供されています。
当社にとって、重要なステークホルダーであるとともに医療機関で初めてCSRレポートを発行されるなど、CSRに関して先進的な取り組みをされていることから、今回「第三者意見」をお願いいたしました。

NPO法人ジャパン・ウェルネス
プログラムディレクター
大井 賢一 様
がん患者とその家族に対する心理社会的支援プログラムの企画・運営を担当。コミュニティの視点から産学官民といったマルチステークホルダーとの協働の推進に取り組む。
企業は社会的存在といわれます。企業は社会の構成団体の1つであり、社会を離れて存在することはあり得ないからです。そのため企業は社会の一員として、法令を遵守すべきことは当然ですが、それにとどまらず、社会に対して果たすべき責任があると考えられています。
私は第一三共グループが社会責任活動に取り組む際に、コミュニティをキーワードとした以下の4点を考えていただきたいと思います。
第一に「現場性」です。社会責任活動として取り組もうとする現場の具体的な問題に第一三共グループが直接的にかかわることによって、常に生きた問題の現実を課題にすることができます。問題の現実を見据えた場合、単に寄付行為のような財政的支援では解決できない問題が浮き彫りとなるかもしれません。むしろ人的・物的な支援の必要性を知ることができるかもしれません。第二に「市民性」です。企業市民として積極的な市民活動・市民討議への参加を通じて、社会責任活動の実際の効果のフィードバックを肌で感じることができます。第三に「地域性」です。それぞれの地域の条件をふまえ、地域の実情を十分把握した上で社会責任活動に取り組んでいただきたいと思います。第四に「総合性」です。これは社会責任活動があまりにも地域に根差したものに偏るのではなく、日本全体として、さらには世界全体からみてバランスが取れた活動であるかを常に自己評価いただくことです。
私は第一三共グループにコミュニティの一員としての社会責任活動の担い手であるのみならず、さらに進んでコミュニティのリーダーとしての先駆的ないし補完的な社会責任活動の担い手として活躍することを期待しております。
- NPO法人ジャパン・ウェルネス様のご紹介
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NPO法人ジャパン・ウェルネス様はアメリカで1982年から活動を続けているがん患者支援団体The Wellness Communityの日本支部として、がん患者とその家族に対する、心理社会的支援を行うことを目的に2001年に設立され、「アクティブな(能動的・主体的に活動する)患者」をコンセプトに、サポートグループの運営、自律訓練法・坐禅会・ヨーガ・アロマテラピーなどの開催、医療情報の提供、セカンドオピニオン相談など、さまざまな活動を行っています。現在、全国に1,500人以上の会員を抱えています。
当社とは、かねてより賛助会員としての支援や患者支援活動のための施設提供などで協力関係にありましたが、2008年度よりRainbowキャンペーンを開始したことから、今回「第三者意見」をお願いいたしました。

株式会社日本総合研究所
主席研究員
足達 英一郎 様
エコファンドやSRIファンドなど社会的責任投資のための企業情報を担当。環境経営とCSRの視点からの産業調査、企業評価を専門とする。
2007年4月に現在の事業会社に移行されて以降、御社のCSR活動を拝見してきました。当初の共通理解を形成するところから、目標を設定し取り組みを実践されるところまで、CSR領域でも見事に統合を成し遂げられました。さらに本書では、昨年度の報告書に対して提出した第三者意見にも真摯に対応いただきました。網羅性を改善され、情報ボリュームも充実しました。そこで次年度版に向け、3つの意見を提出します。
第一に、「何を重要な報告事項としたか」をより明快にされることを期待します。製薬企業のCSRは、製品が「人々の健康に貢献する」という意味で、事業そのものです。他方、副作用被害などの負の影響や途上国での積極的な医薬品供給への期待など、ステークホルダーからの心配や要望が大きい側面もあります。そこで、企業側の「重要性の認識」が注目されるのです。本書には、CSR報告の考え方にその考え方はあるものの、重要な報告事項として個々の掲載内容が選ばれた経緯は必ずしも明らかではありませんでした。
第二に、今回のCSR報告の考え方に掲げられた「CSRの成果と課題」の次のステップでは「改善」に着手することになります。次年度に向けて、本書に、現状に対する価値判断(たとえば女性管理職割合2.1%はどの程度問題なのか)や未達事項に対する原因分析(たとえばPRTR対象物質の大気排出量増加の背景は何か)などの記載がより必要であると判断しました。
第三には、先進国と新興国の「複眼経営」を志向する本邦屈指の企業として、CSRでも内外事業所の取り組みを統合し、名実ともにグローバル企業に相応しい情報開示を実現されることが有効だと判断しました。一朝一夕に取り組み統合は実現できないにせよ、その加速化を期待いたします。
- 株式会社日本総合研究所様のご紹介
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株式会社日本総合研究所様はシステムインテグレーション・コンサルティング・シンクタンクの3つの機能を有する総合情報サービス企業です。社会的責任投資のための企業情報提供を業務の1つとしており、金融機関などにその情報提供を行っています。株式会社日本総合研究所様が実施されているCSR経営動向調査は、分析・設問などが非常に示唆に富んでいること、またご意見をいただく足達英一郎様にはCSRレポート2007で当社社長へのインタビュー、CSRレポート2008では第三者意見を頂戴していることから、今回「第三者意見」をお願いいたしました。

第一三共グループ労働組合連合会
会長
楢本 雅史 様
2007年4月、第一三共労働組合設立と同時に、中央執行委員長に就任。同年10月より第一三共グループ労働組合連合会・会長も兼務。
今回のCSRレポートを読んで、「社会的価値」、「経済的価値」、「人間的価値」の3つの価値の中で「人間的価値」の向上にも強く取り組んでいる会社の姿勢が伝わってきました。労働組合は、人を大切にする経営姿勢を都度確認していますが、その観点からポイントを絞ってコメントします。
1点目は、「社員への責任」、具体的には、人事制度・人材育成、多様化への対応、ワークライフバランスへの取り組みなどについてです。これらの制度自体はかなり充実してきていますが、社員一人ひとりの制度に対する理解や意識についてはまだまだ不十分であると感じています。特に、上司と部下、社員同士のコミュニケーションには課題が多いと認識しており、会社としても課題認識を持ち、より積極的な取り組みを期待します。
2点目は、安全衛生の取り組みについてです。安全衛生については、何よりも従業員の労働災害を未然に防止し、安全に働くことができる職場環境を整備することが重要です。長時間労働対策や健康増進など「労働衛生」についての取り組みは紹介されていますが、「労働安全」の現状と具体的な取り組みについても示す必要があると思います。たとえば、国内外の労働災害度数率※の状況や改善数値目標と対策などが考えられます。
3点目は、コンプライアンスの遵守についてです。医薬品産業がリーディング産業として大きく期待されているなかで、今後も労使ともにさらに啓発活動に取り組んでいく必要があると思います。
最後に、第一三共グループでは現在、世界56ヶ国で約28,900人の従業員が働いています。国際社会においても責任ある企業市民として、積極的に「社会的責任」を果たしていく必要があります。その点においては、国連が提唱する「グローバル・コンパクト」へ参加することを期待しています。
※労働災害度数率:100万延実労働時間あたりの労働災害の死傷者数
- 第一三共グループ労働組合連合会のご紹介
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第一三共グループ労働組合連合会は、2007年10月、第一三共労働組合、第一三共プロファーマ労働組合、第一三共ヘルスケア労働組合を加盟組織として設立されました。2009年9月には第一三共ケミカルファーマ労働組合が新たに加盟し、4労組約6,300名の組織となりました。
企業に最も近いステークホルダーとして、会社が社会的責任を果たしながら健全に発展し、社会から信頼され従業員から愛され誇りを持って働くことができる会社となるよう、チェック&パートナーとしての役割を果たしています。
今回は重要なステークホルダーである社員の代表として「第三者意見」をお願いいたしました。
第三者意見を受けて

第一三共株式会社
CSR・渉外担当常務執行役員
高野 芳一
企業の社会的責任を果たすための活動内容を充実させ、社会から信頼され存続を望まれる企業となるためには、ステークホルダーの皆さまのご期待・ご要望に積極的に耳を傾けることが重要と考えております。
本年度は、より多くのステークホルダーの皆さまからのご意見を頂戴するため、昨年度に引き続きCSRの専門家である株式会社日本総合研究所の足達英一郎様からご意見を頂戴したほか、渓仁会グループの奥田龍人様、NPO法人ジャパン・ウェルネスの大井賢一様、第一三共グループ労働組合連合会の楢本雅史会長にも当社グループのCSRについて第三者意見をいただきました。
大変お忙しいなか当社CSRレポートをお読みいただき、ご意見・ご提言いただきましたことに御礼申し上げます。皆さまからいただきましたご意見・ご提言はすべて真摯に受け止め、第一三共グループ全体の課題として一つひとつ誠実に対応していきたいと考えております。そして、その結果につきましては2010年版以降のCSRレポートで順次ご報告していく予定です。
奥田様からは、医師や患者様の感想や医療関係者へのメッセージ、「問い合わせと回答例」の掲載など、ステークホルダーの皆さまと十分なコミュニケーションを行っている具体的な内容についても紹介し、親密性を高めていく重要性についてご指摘いただきました。このことにつきましては、当社グループがCSRを果たしていく推進基盤として、非常に重要なことであると認識いたしております。これまでの取り組みの見直しを含めて、より効果的なコミュニケーションを行い、皆さまの共感を得たうえでの活動となるよう仕組みを整えていきます。
また、第三者意見をいただいた皆さまからは、先進国と新興国にまたがりグローバルリーチを拡大した第一三共グループに対して、それに見合うかつバランスの取れた社会的責任を果たしていくべきとのご指摘があったと受け止めております。このことにつきましても、「複眼経営」を推進するうえでの当社グループの重要な課題であると認識し、各国の法令遵守はもとよりそれぞれの国や地域における多様な文化と慣習を尊重し、その発展に貢献する取り組みをさらに充実させていきます。
そのほかにも多くのご指摘・ご提言をいただきました。ステークホルダーの皆さまと社内の認識のギャップを検証しながら、より質の高い取り組みとなるよう改善を進めていきます。
今後も第一三共グループは、企業の社会的責任を果たすため、本業である創薬を基軸として健康で豊かな生活に貢献するとともに、新興国における積極的な医薬品の供給や、次世代へいまある地球環境を残していく環境保全の取り組み、働きがいのある職場をつくるための取り組みなどを推進し、ステークホルダーの皆さまから信頼され存続を望まれる企業となるべく努力を続けてまいります。
※情報・役職等は2009年9月時点のものです











