地震発生直後の体制と対応
事業継続計画(BCP)に基づく初動対応
今回の東日本大震災発生直後、本社に緊急対策本部が直ちに設置され、経営トップの陣頭指揮のもと、直ちに被災地の情報収集と対応指示の体制がとられました。対策本部事務局である総務部においては、「社員の安否確認」、「建物の被害状況の確認」、「通信手段の確保」や「帰宅困難者の状況確認」などの情報収集一元化をおこない、震災発生5時間ほどで、全社の被害状況を把握し、一方、経営レベルでは、常に全体を掌握しながら素早い判断のとれる体制を維持しました。こうした初動体制のもとで、「現地応援部隊の編成」、「日常の備えとして全国に備蓄している緊急備蓄品の搬送」、「被災者の搬送および受入手配」、「帰宅困難者への対応」など、震災発生翌朝までには、すべての準備を整え、具体的な支援行動としての執行が速やかに実行に移されています。
また、震災翌日以降には、継続した現地支援活動、被害拡大防止、広報活動といったさまざまな諸課題に対処すべく、国内グループ会社も含めた組織横断での対策チーム(チーム責任者:高野専務執行役員)を立上げ、より幅広い支援・被害拡大防止策などを講じてきました。
こうした、大震災発生初期における渦中対策については、第一三共グループにおいて有事の対応を図れるようクライシスマネジメントの手順を定めています。また、安否確認システムの整備、緊急備蓄品の保管および搬送手段確保、防災備蓄品の事業所への常備といった災害インフラの拡充に加え、防災についての日常の訓練徹底について日頃より着実に実施していることが成果として結びついています。
クライシスマネジメントからリスクマネジメント体制へ
大震災発生直後の初動対応を完了した後、製薬企業の使命である安定供給を確実に果たしていくため、社内の体制を事業復旧を目的としたリスクマネジメント体制に移行させました。具体的には、社長をチームリーダーとし、関係部門の責任者をメンバーとする震災リスクマネジメントチームを編成し、重要事項に関する意思決定の迅速化を図りました。このチームにおいて、生産体制の復旧、福島原発事故への対応、電力抑制計画など、震災に関する各部門のさまざまな課題について対応策を検討し、その実施を指揮してきました。 これまでのチームの活動により、現在では、製品の安定供給に関するリスクは最小化することができています。
製薬企業として果たすべき役割
製品供給への影響
- プラバスタチンについては、輸出分も含め安定供給可能な在庫を保有し、原薬を製造する小名浜工場についても2011年9月より生産再開を見込んでいます。
- オルメサルタンの原薬は小田原・小名浜の両工場で生産していますが、メイン工場である小田原工場での生産数量を拡大することで対応しています。
- オルメサルタンなど主力品の最終製品(製剤)を生産する平塚工場では、休日操業の実施による必要数量確保に加え、高槻工場や第一三共ヨーロッパ・パッフェンホーフェン工場におけるバックアップ生産などの諸施策を実施しています。
- 発売を延期していた「メマリー」については安定的な供給体制を確保し、2011年6月8日に発売しました。
第一三共プロファーマの各工場の対応スケジュール
医療用およびOTC※医薬品の提供
日本製薬工業協会と連携し、速やかに止血剤、消炎鎮痛剤、高血圧治療剤、抗菌剤などの医療用医薬品を提供しました。また、日本OTC医薬品協会を通じ、OTC医薬品を含むヘルスケア製品をリスト化し、無償提供を開始しています。「ルルうがい薬」「ルルアタックEX」などの感冒薬やマスクなどの製品を引き続き提供していきます。
※ Over The Counter Drugの略で、医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品
- 担当役員より 日ごろの備えが実った初動対応
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専務執行役員
日本カンパニー
管理本部長
高野 芳一東日本大震災の発生を受けて対策チームの責任者として、さまざまな課題に対処してまいりました。
左記のとおり、チームとして地震発生直後の初動対応の成果をあげ、被災地域を含めた医薬品の継続かつ安定的な供給を行うなど、製薬企業としての役割・社会的責務を果たすことができました。これは、クライシスならびにリスクマネジメントシステムを構築し、また事業継続計画(BCP)を策定してきたことが要因であると評価しています。
甚大な震災に加え、津波・原発の影響もありましたが、対策チームとして「情報の一元管理と迅速な意思決定」を徹底し、さまざまな課題に対応してきました。
この度の震災では、多くの課題と教訓を私たちにもたらすとともに、災害をどれだけ減災化できるかという知恵や感性を日頃から養っておく必要性を再認識させられました。今後も、この経験を謙虚にふまえ、災害に対する備えを充実させてまいります。
