第三者意見

第三者意見

株式会社日本総合研究所様

足達 英一郎 様

理事
ESGリサーチセンター長
足達 英一郎 様

環境問題対策を中心とした企業社会責任の視点からの産業調査、企業評価を担当。
金融機関に対し社会的責任投資や環境配慮融資のための企業情報を提供。
2005年3月から2009年5月までISO26000作業部会日本エクスパート。

CSRに関する第一三共グループへの期待としては、一貫して二つのことがあげられます。
一つ目は、医薬品産業特有の課題に、フロントランナーとして対応していただきたいということです。「こうした経営を選択するので、こうしたCSRが重要になる」という視点が不可欠であり、「5つの領域と重点課題」は説得力を持つと判断しますが、「事業における意思決定や活動が社会、環境に及ぼす影響」について、常に敏感でいただきたいと感じます。本書では、東日本大震災への対応に関する報告を興味深く拝見しました。一方、研究開発と医療情報提供のプロセスにおけるコンプライアンス、副作用の安全性評価に関する情報開示の拡充を期待します。また、最近、排泄物を介して排出される服用後の医薬品、不適切な形で廃棄される未使用・不要医薬品を主な起源として、全国の河川水や水道水において医薬品の検出が報告されています。例えば、こうした問題に対する認識も早期に開示していただきたいと考えます。
二つ目は、日本で指折りのグローバル企業として、それに相応しい対応をしていただきたいということです。2010年度にはCSRに関する海外グループ会社の責任者を任命されたことが報告されており、注目しました。また、「国連ミレニアム開発目標への貢献」や「国際的視野での医療アクセスの拡大」に関する記事を拝見して、ランバクシー社とのシナジー創出がCSRの領域でも着実に進展してきているとの印象を受けました。今後は、KPIの導入なども検討していただき、取り組みの成果を着実に報告していただきたいと考えます。また、人事制度のグローバルな統合にも取り組んでいただき、真の「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現していただきたいと思います。

株式会社日本総合研究所様のご紹介

株式会社日本総合研究所様は、システムインテグレーション・コンサルティング・シンクタンクの3つの機能を有する総合情報サービス企業です。
社会的責任投資のための企業情報提供を業務の一つとしており、金融機関などにその情報提供を行っています。株式会社日本総合研究所様が実施されているCSR経営動向調査は、分析・設問などが非常に示唆に富んでいること、またご意見をいただく足達英一郎様には、CSRレポート2007で当社社長へのインタビュー、CSRレポート2008からは第三者意見を頂戴していることから、今回も継続的に第三者意見をお願いいたしました。

特定非営利活動法人パブリック リソース センター様

岸本 幸子 様

事務局長・理事
岸本 幸子 様

民間企業、研究機関勤務、海外留学を経て、2000年にNPO法人パブリックリソースセンター創設に参画。
寄付の推進、企業の社会的責任(CSR)の向上、NPOのミッション志向マネジメントの支援などに取り組む。
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科、明治学院大学法学部で非常勤講師として教鞭もとっている。共著に「まちづくり学」(朝倉書店)、「NPO実践マネジメント入門」(東信堂)、「寄付白書2010」(経団連出版)他。

第一三共株式会社CSRレポート2011にもとづき意見を述べます。同社は経営活動にCSRを組み込んでいこうとする姿勢が明確で、グローバルな視野に立った意欲的な取り組みを開始していると考えます。

特に評価する点

  • CSRに関する中期方針と重点課題の設定にあたり、同社の事業戦略・事業特性をよく踏まえた絞込みがされていること。
  • コンプライアンス経営の推進について、生命倫理、動物実験、バイオハザード、医療関係者への金銭支払いなど、製薬会社としての特有の課題を取り上げ、取り組み状況を報告していること。
  • 国連ミレニアム開発目標への貢献などグローバルレベルで対応すべき課題を正面から取り上 げ、移動診療車の運営という具体的な対策を実施し、拡大していこうとしていること。事業実施にあたり、現地状況に関する事前調査、パートナーNGOの選定、成果目標の設定など効果的な事業のためのプロセスを踏んでいること。
  • 工場・研究所で地域住民とのコミュニケーションの場を定期的にもち、安全・安心の要請に応えようとしていること。

さらなる改善を期待する点

  • 企業倫理委員会への社外弁護士の参加、倫理審査委員会への多様な立場の人の参画など、コンプライアンスの透明性を確保するための基礎がつくられている。今後は研究開発におけるコンプライアンス活動の透明性の一段の向上を期待したい。治験評価委員会、動物実験委員会、遺伝子組み換え実験安全委員会、バイオセーフティ委員会等の活動に関しても外部の目をいれる工夫が必要と思われる。
  • 医療機関や患者さんへの情報提供、やりとりは製薬会社として最も重要なステークホルダーとの対話である。同社ではMRの養成を中心にさまざまな取り組みを行っているものの、情報の発信と収集、フィードバックに関する基本的な方針が見えづらい。特に最終消費者である患者さんに対する責任という視点での方針の明示が望まれる。
特定非営利活動法人パブリックリソースセンター様のご紹介

特定非営利活動法人パブリックリソースセンター様は、協働によるパブリックリソース開発によって、NPOの発展と非営利セクター強化を図り、新たな社会の仕組みづくりを目指す、民間非営利の実践型シンクタンク&コンサルティングファームです。
事業内容として、寄付文化創造/ファンドレイジング支援、SRIのための社会性評価/コミュニティ投融資の開発、ミッション・ベースト・マネジメントの実現、CSR(企業の社会的責任)推進を行っています。
NPOという立場として、個人やさまざまな社会セクターとのつながりが豊富なことから、今回新たに第三者意見をお願いいたしました。

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第三者意見を受けて

高野 芳一

執行役員
グループ人事担当
グループCSR担当
眞鍋 淳

本年度は、当社CSRレポート2011に対する第三者意見として株式会社 日本総合研究所の足達 英一郎様、特定非営利活動法人 パブリックリソースセンターの岸本 幸子様よりご意見を頂戴しました。お忙しい中、レポートをお読みいただき、ご意見・ご提案をいただきましたことに御礼申し上げます。いただきましたご意見・ご提言のすべてを真摯に受け止め、第一三共グループ全体の課題として一つひとつ誠実に対応していきたいと考えております。
足達様からは2つのご期待をお示しいただきました。1つ目の「医薬品産業特有の課題へのフロントランナーとしての対応」につきましては、「事業における意思決定や活動が社会、環境に及ぼす影響」を正しく認識し、責任ある対応をとることが、社会的要請として高まってきていることを認識しております。ご指摘いただいた医薬品の排出が環境に与える影響の評価については、検討段階にございますが、グローバル製薬企業として相応しい責任ある対応をしてまいります。2つ目の「グローバル企業として相応しい社会への対応」につきましては、活動指標をモニタリングし、活動の成果をその目指すべき姿を見据えた上でより明確な形で報告してまいります。また、社員一人ひとりがそれぞれの個性と能力を発揮し、グローバルに活躍できる場を提供するさらなる人事制度の充実を図ってまいります。
岸本様からは「研究開発におけるコンプライアンス活動の透明性のさらなる向上」と「患者さんに対する責任という視点での方針の明示」という2つのご期待をお示しいただきました。1つ目につきましては、生命関連企業として人々の健康や生命に深く関与しており、社会から高い倫理観が求められていることを踏まえ、ご指摘いただいた委員会等の拡充を含めたさまざまな施策を検討し、実施していきたいと考えます。2つ目につきましては、MR活動、お問い合わせ対応、製品安全確保への取り組みなどのさまざまな活動は、最終消費者である患者さんに対する責任にすべてつながるという視点から企業活動に関する方針を明示してまいります。
第一三共グループは、2015年ビジョンとしてGlobal Pharma Innovatorを掲げ、2010~2012年度の第2期中期経営計画において、5つの重点課題に積極的に取り組んでおります。2011年度には、中期経営計画の初年度にあたる2010年度の実績を踏まえたうえで、重点課題の一つとして掲げられている「国際的視野での医療アクセスの拡大」に向け、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に直接貢献するグローバル社会貢献活動に挑戦致します。今後も企業の社会的責任を果たしていくために、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供していくことを基本とし、健康・医療分野への支援を行っていきます。さらに全ての事業活動における環境負荷の低減、多様性を尊重した働きがいのある職場をつくるための取り組みなどを推進し、社会から信頼され存続を望まれる企業となるべく努力を続けてまいります。