事業展開と一体化したCSRへの取り組み(CSR中期方針)
- 医薬品市場の概要
- 事業を取り巻く課題認識
- グローバルな活動状況
- グローバル経営体制
- 2015年ビジョン
- 中期経営計画に連動させたCSR推進
- 第一三共グループ企業行動憲章の改正
- ステークホルダーとの関係
医薬品市場の概要
全世界の医薬品市場は、2010年約8,750億ドルとなっています。 2015年までの世界市場全体の年平均成長率は5.0%と予想されていますが、日本を含む先進国市場では高齢化の進展と経済成長の鈍化が同時に進行し、これらは医療財政を圧迫する要因となるため、結果として各国で医療費・薬剤費の抑制傾向がますます強まっています。 先進国の医薬品市場の成長率が鈍化する中、その他の地域は人口増加や経済成長を背景として2015年に向けた年平均成長率は12.0%予想とされています。
世界の医薬品市場規模
Source: Estimated based on MarketPrognosisGlobal2011-2015
World Pharmaceutical Market by Region (2010-2015) US$ (billion)
at Ex-Manufacturer Prices Using Constant Exchange Rates,
Reprinted with permission
第一三共グループの売上高は2010年度9,674億円であり、グループ別、地域別の業績は下記のとおりとなっています。
第一三共グループ2010年度売上高
事業を取り巻く課題認識
先進国市場においては高齢化の進展と経済成長の鈍化が同時に進行し、医療費・薬剤費の抑制とジェネリック医薬品の普及が進んでいます。一方、医薬品の安全性や有効性を判定する基準が世界的に厳格化し、イノベーティブ医薬品(新薬)を生み出すためのハードルは高くなりつつあります。
先進国以外の地域では、乳幼児死亡率や妊産婦死亡率、HIV/エイズやマラリアなど、国連ミレニアム開発目標での医療関係の目標値をクリアするのが厳しい国が多く存在します。その一方で、経済成長と所得水準の上にともない高齢者人口の増加と生活様式の都市化が進展し、先進国と同様、慢性疾患リスクの増加も始まっています。
このような事業環境の変化を見据え、当社グループは基幹事業のさらなる強化と将来を支える事業の育成・成長に向けて、さまざまな取り組みを進めています。
グローバルな活動状況
新興国市場での成長を図っていくために、ランバクシー社を2008年にグループに迎え入れました。当社グループは現在、世界の50を超える国々、約3万人の社員を擁する企業グループとなり、日本以外で働く社員の割合は約70%、文化・風習、価値観も一気に多様化しています。
現在では、営業面のみならず研究開発の分野においても、指揮系統と実行面が一元化された効率的なグローバル研究開発体制を構築しています。 さらには社会貢献の分野においても、ランバクシー社との協業を開始しています。
グローバル主要拠点
地域別従業員数(連結)(2010年度)
グローバル経営体制
第2期中期経営計画のスタートにあたって、当社グループは、新たなグローバル経営体制を構築しました。
変化の激しい経営環境の中で、変化に迅速に対応し、成長していくためには、戦略的な意思決定と戦略の実効性を高める必要があります。
グローバル経営体制は、CEO直轄のユニットとして7つの事業ユニットと5つの機能ユニットを設けて、グローバルに地域軸と機能軸をバランスさせたマトリクスマネジメントを推進することにより、当社グループ全体として適時適切な意思決定と戦略の実効性を担保するものです。
グローバルコーポレートオフィス内に、CSRに関するグローバルな戦略立案と推進管理を行うグループCSR担当を置き、CSRのグローバル展開を進めています。
CSRの推進にあたっては、専任のCSRスタッフを置き、計画的かつ効果的に経営資源を投入し、その成果を検証しながら活動の継続的改善を図っています。
※1 社内における事業組織
※2 日米欧を除く国・地域を示す社内用語
グローバル経営体制図
2015年ビジョン
当社グループは、「Global Pharma Innovatorの実現」という2015年ビジョンを掲げ、3ヵ年ごとの中期経営計画をマイルストーンとして設定し取り組んでいます。
現在進行中の第2期(2010~2012年度)は、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供することで、世界市場の平均成長率を上回る企業成長を成し遂げることを目標としています。 事業としてはイノベーティブ医薬品(新薬)を強化・充実させるとともに、ワクチン、エスタブリッシュト医薬品(ジェネリック医薬品と長期収載医薬品)、OTC※医薬品を加え、地域としてはグループ会社のランバクシー社とのシナジーを創出しながら、日・米・欧に成長著しい新興国を加えた「ハイブリッドビジネスモデル」を推進しています。
※Over The Counter Drugの略で、医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品
- 事業経営の方向性
-
- イノベーティブ医薬品(新薬)事業の強化・拡大
- OTC、ワクチン、エスタブリッシュト医薬品(ジェネリック医薬品と長期収載医薬品)事業の基盤拡充
中期経営計画に連動させたCSR推進
第一三共グループでは、CSRにおいても中期方針と5つの重点課題を設定し、第2期中期経営計画の重要な柱として組み込んでいます。
なお、この策定にあたっては、2010年度に次の3つのプロセスを経て、経営層、執行役員を中心とした経営会議により決定しています。 詳細については、昨年度CSRレポート2010のP13~16を参照ください。
2010年度は第2期中期経営計画の初年度として、CSR中期方針ならびに5つの重点課題について、グループ内でその認識を共有化しました。
CSR中期方針
第一三共グループは、人の命と健康を支える企業として、人への思いやりを大切にし、社員の多様性を原動力として社会や地球環境との調和をはかってゆきます。
| 課題設定の背景 | 取り組みの方向性 | |
|---|---|---|
| 重点課題1 グローバル規模でのコンプライアンス経営の推進 |
製薬企業には、世界的に厳格化する医薬品の安全性・有効性判定基準への対応はもちろん、医療機関等の関係の透明性確保もますます求められるようになっています。 |
|
| 重点課題2 多様性を尊重した働きがいのある労働環境の実現 |
50を超える国々、約3万人の社員を擁する当社グループでは、日本以外で働く社員の割合は約70%、文化・風習、価値観も一気に多様化しています。 |
|
| 重点課題3 ステークホルダーとのコミュニケーションの強化 |
会社は社会の中で存在するものであるからこそ、社会の中の多岐にわたるステークホルダーとの円滑なコミュニケーションが求められます。 |
|
| 重点課題4 すべての事業活動における環境負荷の低減 |
グローバル規模で事業活動を行う当社グループにとって、事業活動全体の環境負荷を把握し負荷低減のためのグローバルでの取り組みをより積極的に推進することが喫緊の課題です。 |
|
| 重点課題5 国際的視野での医療アクセスの拡大 |
患者さんのさまざまなニーズに対応する多様な医療サービスに応えていくことはもちろん、グローバルに事業展開する製薬企業として、世界の医療問題に貢献する活動が求められています。 |
|
第一三共グループ企業行動憲章の改正
グローバル化する企業活動において、地球規模での環境保護、人権、多様性への対応、患者さんからのより一層の「製品の安全」、「医療機関との関係における透明性」などの要請に対する企業対応が求められています。また2010年11月、世界で初めてとなる「社会的責任」に関するガイダンス文書であるISO26000が発行されました。
このように時代とともに変化、拡大する企業の社会的責任に対する社会からの要請を踏まえ、第一三共グループの企業行動憲章の改正を現在進めています。企業行動憲章に基づいた企業活動を行っていくことが「社的価値」「経済的価値」「人間的価値」の3つの価値のバランスのよい向上につながり、持続可能な社会づくりに貢献していけるものと考えています。
3つの価値
第2期中期経営計画のCSRに関する5つの領域と重点課題
ステークホルダーとの関係
企業活動を行う上では、さまざまなステークホルダーの皆さまとの関わりは欠かせません。当社グループでは、「第一三共グループ企業行動憲章」および各社の「コンプライアンス行動基準」でステークホルダーに対する行動基準を明文化しています。
| ステークホルダー | 第一三共の責任 |
|---|---|
| 患者さん・医療関係者 | 医薬品などを通して、人々の健康維持、増進ならびにQOL(生活の質)向上に貢献できるように努めます |
| 社員 | 社員の能力開発と自己実現の機会を可能なかぎり提供することで、多様な価値観を尊重できる人材の育成に努めます |
| 株主 | 適時・適正かつ公平な情報の開示により、透明性の高い開かれた企業としての信頼を得るように努めます |
| 取引先 | 取引先の地位・権利・利益を尊重し、法令や適正な商慣習に則った契約に基づき、公正かつ健全な関係を維持します |
| 地域社会 | 持続可能な社会づくりに貢献する企業としての活動を自主的かつ積極的に行います |
| 地球環境 | 地球環境への配慮は企業の社会的責務であることを認識し、法令遵守はもとより、自主的かつ積極的にその保全と改善を推進します |
ステークホルダーへの経済的価値分配
| ステークホルダー | 2009年度分配額(百万円) | 2010年度分配額(百万円) | 金額の算出方法 |
|---|---|---|---|
| 取引先 | 456,110 | 442,378 | 販売費・一般管理費(人件費を除く) |
| 社員 | 122,454 | 121,164 | 販売費・一般管理費のうちの人件費 |
| 株主 | 49,275 | 42,235 | 剰余金の配当額 |
| 債権者 | 5,719 | 5,519 | 営業外費用のうちの支払利息 |
| 政府・行政 | 50,016 | 41,806 | 法人税など |
| 環境 | 2,666 | 2,392 | 環境に関する支出を独自に集計 環境会計での環境保全費用(国内) |
| 企業内部 | △7,427 | 27,882 | 利益剰余金の当期変動額合計 |













