特集1 「情報力」「人間力」「情熱」で信頼されるMRの育成を目指して
- 特集1「情報力」「人間力」「情熱」で信頼されるMRの育成を目指して
- 特集2希少疾病とたたかう医師と患者さんのために
質の高い医薬品情報を提供するために設計された「MRクロスワイズ体制」や医療関係者の方々とのコミュニケーションを強化するための取り組み、MRの育成方法について具体的にご紹介します。
- MRクロスワイズ体制で質の高い医薬品情報を提供
- 情報力・人間力・情熱を育て信頼される医療パートナーへ
- コミュニケーションを進化させる「聴く力」を高める取り組みに注力
- 成果1 情報提供力でドクター支持率No.1に
- 成果2 患者さんのお役に立つ提案のために「伝える」MRから「聴ける」MRへ

MRクロスワイズ体制で質の高い医薬品情報を提供
医薬営業本部長
鈴木 良彦
2007年4月に、旧事業会社(三共株式会社、第一製薬株式会社)の2社が完全事業統合して誕生した第一三共は、事業統合最大のメリットを活かすことを目的に、旧2社それぞれのラインによる活動ではなく、当初から1つの組織として活動する道を選びました。両社合わせて約170にもおよぶ品目を有するなか、「信頼される医療パートナー」として、(1)取り扱う医薬品に関する総合的な情報を収集・提供すること、(2)高い専門性が求められる疾患領域別にアプローチすること、(3)高度化・多様化する医療や施設のニーズに適時・適切に対応すること、この3つを満たすことを目的に、地域や施設を担当する「施設担当MR」と各疾患領域において専門性の高い情報を提供する「領域担当MR」が連携(Cross)して質の高い情報(Wise)を提供する「MRクロスワイズ体制」を設計しました。
また、MR(Medical Representative:医薬情報担当者)の育成方針として、第一三共の3つのスピリット「先進の志」「誠実さ」「情熱」それぞれに対応する「情報力」「人間力」「情熱」という3つの要素を設定して、MRの育成スローガン「Together We Can」を掲げました。さらに、具体的な育成策としては、旧2社が持つ医療情報を“第一三共のMR”として正しくお伝えすることを最優先課題と捉え、「DASH」と名づけたトレーニングプログラムを用意しました。MRに先進的な知識や情報提供スキルの習得を積極的に促すこうした取り組みは、一定の成果をあげることができたと考えていますが、一方で新たな課題も見えてきました。1つは、患者さんや医療関係者の医療ニーズ、またMR活動への期待は、病院と医院という2つの医療現場において異なっており、画一的なMRクロスワイズ体制では、それぞれの医療現場のニーズや期待に必ずしもお応えしきれるものではないという課題が明らかになったことです。
そこで2008年春からは広大なエリアを担当していた癌担当と造影剤担当を統合し、2009年春には、疾患領域担当から施設担当への組み替えを実施し、医院で受診される患者さんと、その診療に従事される医療関係者の方々のニーズと期待に的確にお応えできるようにするなど、MRクロスワイズ体制を進化させています。
MRの業務の流れ

情報力・人間力・情熱を育て信頼される医療パートナーへ
もう1つの課題は、情報提供のあり方です。というのも、従来、「第一三共を知っていただく」「製品の特性を知っていただく」「最新の情報をお届けする」ことに注力するあまり、医療関係者の方々とのコミュニケーションが当社からの一方的な情報提供になりがちだった面がありました。
近年、医療機関は、チーム医療の推進、医療連携の普及、情報開示の徹底、満足度調査の実施、ISO取得など、さまざまな取り組みを進めています。また、情報ネットワークが普及したことで、患者さんやその家族の方々がさまざまな医療知識を持つことができるようになり、これまで以上に医療関係者に対する期待が高まってきました。
そうしたなかにあっては、「どれだけ医療関係者の期待にお応えする情報を提供できるか」「課題を解決するお手伝いができるか」が、MRの大きな役割の1つになってくるとの考えから、あらためて「情報力」「人間力」「情熱」を兼ね備えたMRの育成を目指し、コミュニケーション力の強化に着手しました。その強化とは、一方的に“伝える”だけになりがちだったコミュニケーションのスタンスを、“双方向かつサイクルする”ものへと変容させることです。
得意先から『選ばれる営業』3つの要素

コミュニケーションを進化させる「聴く力」を高める取り組みに注力
その具体策として当社では、2009年の春から「聴く力」に力点を置いた取り組みを始めています。「医療関係者の意見を聴き、それを受け止め、それにお応えする」という視点を持ったコミュニケーションは、「医療関係者が患者さんに対してどのような医療行為を行おうとしているのか」「そうしたなかで第一三共は何ができるのか」を考え、知ることから始まります。つまり、「聴く力」を養うこの取り組みは、「情報を伝える」というスタンスから、「患者さんの治療に役立つ提案をする」というアプローチを目指すものです。
そうしたアプローチから第一三共の医薬品が処方された際には、たとえば、有効性・安全性など使用成績に関する情報のフィードバックを医療関係者から受け、次なる安全性情報として迅速に発信することができるようになるなど、双方向のコミュニケーションが一層加速されることになります。つまり、従来の伝える力(情報提供力)に加え、聴く力(ニーズを理解し、受け止める力)を養うことは、双方向コミュニケーション、ひいては循環するコミュニケーション・サイクルを確立することにつながります。こうしたコミュニケーション・サイクルをきちんと循環させていくことで、より一層信頼されるパートナーとして、真に患者さんのお役に立っていきたいと考えています。
「聴く力」を高める取り組みは開始したばかりですが、すでに具体的な成果が表れつつあります。今後も「患者さんのお役に立っていく」というスタンスを追求し続け、患者さんとその家族の方々、また医療に従事される多くの医療関係者から、信頼される存在であり続けたいと考えています。
得意先から『選ばれる営業』を目指して

[成果1]情報提供力でドクター支持率No.1に
第一三共では、MR活動の継続的な改善・向上を図るため、医療関係者を対象に定期的にアンケート調査を実施しています。この調査は、外部調査会社の協力を得て独自に実施しているもので、直近では2009年1月に実施しました(有効回答数:2,407)。
診療科別に「質問に対する的確な回答」「具体的な症例や対象患者をあげた薬物治療の提案力」などのプロモーションスキルについて、製薬企業9社との取り組みレベルを評価いただく調査で、当社は2008年2月、7月、2009年1月と3回連続で、循環器領域においてNo.1の評価を受けたほか、2009年1月の調査では、他の診療科を含めた総合評価でもトップ評価を得る結果となりました。
また、2009年4月に日経メディカル開発社が医師に対して実施した「製薬企業に関する調査」(有効回答数:1,000)においては、MRに対する医師の満足度でも、製薬企業44社のなかでNo.1の評価をいただくことができました。(「日経メディカルMR調査2009報告書」日経メディカル開発社発行より)
事業統合後2年間において注力してきた「的確な情報提供」がこうした高評価につながっていると考えています。今後は、「聴く力」の育成を通じ、「医師のニーズに合わせた情報提供力」や「一方通行ではない双方向のコミュニケーション力」を強化し、信頼されるMRを育成していきたいと考えています。
アンケート調査
| 2007年8月 | 2008年2月 | 2008年7月 | 2009年1月 | |
|---|---|---|---|---|
| MR総合評価※1 | 3位 (N=800) |
2位 (N=1,930) |
2位 (N=2,228) |
1位 (N=2,407) |
| 循環器トップメーカーとしての企業評価※2 | 3位 (N=205) |
1位 (N=357) |
1位 (N=390) |
1位 (N=433) |
出所:当社調べ
- ※1. MR評価を点数化(1位3点、2位2点、3位1点、4位以降0点)
- ※2. 循環器医師が循環器のトップメーカーとして選択した率
[成果2]患者さんのお役に立つ提案のために「伝える」MRから「聴ける」MRへ
「医療関係者の意見を聴き、それを受け止め、それにお応えする」という視点を持ったコミュニケーション力育成に向け、「聴く力研修」を開催しています。
2009年5月に実施した研修では、「MRに求められることは何か」をテーマにドクターに実施したインタビューDVDの視聴を通じ、「聴くこと(傾聴)」の重要性を伝えたうえで、他社の取り組み事例の研究、実際の面談場面を撮影したDVD「聴く!MR」の視聴、具体的な疾患領域を対象例としたグループディスカッションなどを実施しました。
「聴く力研修」の開始からわずか2ヶ月足らずですが、すでに「医師の治療に対する考え」や「薬剤選択の基準」「薬剤形状についてのアドバイス」など「医師の本音が聴けた」という事例が報告されているほか、600件を超える反応が寄せられるなど、確かな成果があがりつつあります。今後も「聴く力」をベースに、医療関係者とのコミュニケーションを深め、受け止めたニーズを社内で共有・発展させることで、「患者さんの治療に役立つ提案をする」アプローチを進化させていきます。

※情報・役職等は2009年9月時点のものです












