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新興国での事業展開における
腐敗防止への取り組み

グローバル企業が、成長著しい新興国での事業拡大を進めていく中で、外国公務員等への贈賄事件が注目を集めてきています。第一三共として、どのような点を考慮し、リスク対応を図りながら、事業を行っていくべきかについて、贈賄防止法規対応に詳しい、森本大介弁護士にお話を聞き、腐敗防止のための取り組みについてご示唆いただきました。

開催にあたって

與五澤
本日(2014年7月3日)の司会を務めさせていただく第一三共の與五澤です。CSRグローバルヘッドとして、第一三共グループにおけるコンプライアンス経営の推進に取り組んでいます。当社グループのASCA地域での事業展開、コンプライアンスへの取り組みについて、半田より紹介し、贈賄防止法規対応をご専門とされている森本先生から、贈賄防止規制の動向などについてご説明をいただきます。

新興国事業の加速と同地域内における腐敗リスク

半田
ASCAカンパニーは、8つの国と地域に現地法人を有し(下記地図参照)、当該地域における医薬品の販売を行っています。その中で、中国、ブラジルは、医薬品の生産機能を有しています。また、当該国や隣国に対し、ライセンス事業も行っています。市場全体としては、生活水準の向上、健康意識の高まりなどを背景として、今後5年間では、概ね年平均10%の成長が予測されており、当社グループの成長戦略には欠かせない地域です。
森本様
御社のASCA地域の中には、贈賄行為の横行により、腐敗リスクの高い地域が含まれています。各国で事業を行っていく上で、業務上発生する外国公務員等とのやり取りにおいて配慮すべき各国の贈賄防止法規への対応はもちろん、米国FCPA(連邦海外腐敗行為防止法)のように、米国外で行った贈賄にもかかわらず米国の法律の適用を受ける場合もあり、その対応についても考える必要があります。米国FCPAについては、解釈の幅が広く、対応次第では思いがけないさまざまなリスクに直面する可能性があります。
ASCA地域
ASCA地域

第一三共のコンプライアンス全般への取り組み

半田
当社は、生命関連企業としてふさわしい高い倫理観と社会的良識をもって行動し、誠実な活動をすることを第一三共グループ企業行動憲章に定め、ASCA地域で働くすべての社員もその精神を遵守し、日々の活動を行うこととしています。また、各グループ会社は、当憲章に沿って、各国特有の法制動向などに対応するためのコンプライアンス行動規範を有し、その推進体制を整備し、コンプライアンス経営に取り組んでいます。
そもそも、医薬品事業は、各国ともに行政の許認可が必要で厳格に運営されており、また、公務員等と接触する機会も多いことから、公務員等への贈賄などの問題にさらされる可能性が高く、事業を担う社員一人ひとりが、コンプライアンス意識を常に持って活動をしていかなければなりません。
森本様
そうですね。コンプライアンス体制を構築し、事業をするすべての社員への研修が非常に重要ですね。贈賄問題でさらに気をつけていただきたいのが、エージェントや代理店が贈賄をしてしまうケースが見受けられるということです。ライセンスアウトだから大丈夫というわけではありません。知らないうちに巻き込まれるケースもありますので、自分たちが注意しているだけでは不十分というのが近年の贈賄の特徴でもあります。

製薬企業としての腐敗リスクの認識

半田
製薬企業において、公務員等との関係でリスクが高いと思われるのが、医薬品の許認可取得業務に加え、病院での医薬品の採用、処方のためのドクター、薬剤師等の医療関係者との接触です。製薬企業特有のリスクがどこに存在しているか把握し、その段階ごとの対策も進めていかなければなりません。
森本様
事業のどの場面で贈賄リスクが高いのかを考えることは、リスク低減のための重要な取り組みですね。最近の製薬企業の贈賄に関する事例として、米国FCPAを巡る事案や新興国における贈賄事例が発生しましたが、製薬企業としてのリスクの把握と対応は必須となってきます。
與五澤
森本先生、今後コンプライアンス経営を推進し、事業を行っていく上で、各国の贈賄防止法規対応に加え、特に米国FCPAについてどのような点に留意し、対策をしておくべきなのかご意見をいただけますか。

腐敗防止体制の構築に向けて

森本様
米国FCPAは、ガイドラインがあり、そちらを参照しつつ対応の準備をしておくことが良いと思いますが、まずは、以下の取り組みをきっちり行うことが最低限求められると思います。
① 米国FCPAを含むコンプライアンスプログラムの確立と腐敗防止ポリシーのレビュー
② 社員への継続した周知活動、社員からのコンプライアンス遵守の宣誓書の受領、定期的な内部監査の実施
③ コンプライアンス責任者が任命され、経営層への直接のレポートラインがあり、コンプライアンスに関する定期報告がされていること
④ 主要言語での内部通報制度を設置していること
半田
腐敗防止に関するコンプライアンスプログラムをしっかりと構築する。さらに構築するだけでなく、しっかりと回していき、PDCAに継続的に取り組む体制を構築するということが非常に重要なことだと思います。現地に任せるのではなく、双方で理解しながらチェックしていきたいと思います。

第一三共株式会社